徒然日記

Dairiten1012の日記

徒然日記58 ~若さ、若さってなんだ~

友人に誘われ、出身高校の文化祭に行ってきた。目当ては、3年間所属していた演劇部の文化祭公演だ。友人は合法的に高校に入れる唯一の日だとか言って笑っていたが、まあ彼はそういうキャラなのだ。

 

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前日のバイトの疲労が抜けきらない状態で久々に晩酌をした結果、深夜3時にパンツ一丁で革靴を履いて玄関で寝ている状態で目が覚めたりしていたので、まともに体力が回復していなかった…というしょーもない経緯があったので、受付で入校手続きをしていた朝10時の時点ですでに帰りたい気分でいっぱいだった。

校舎に入って昇降口を抜けると、生徒会やら文化祭実行委員やらがパンフを配っている。そしてそこを狙って宣伝に来る各クラスの生徒。中庭では吹奏楽部がクラシックやら、平成名曲メドレーやら、ジブリメドレーやら、ディープ・パープルやらを演奏していた。自然と友人たちと演奏中の曲がなにかを当てるイントロクイズが始まる。まさか世代直撃の「ウィーアー!」のイントロでピンと来ないと言われるとは思わなんだ。

 

校内を懐かしい懐かしいと言い合いながらグルグルと部活展示、クラス展示などを見て回る。朝に日直が教室へ持っていく日直日誌や配布プリントなどを置いておく棚を見て、友人があまりの懐かしさに写真を撮っていた。確かに懐かしいが、それは流石に恥ずかしいぞ。

 

購買で昼ご飯を食べた後、本命の演劇部の文化祭公演を観る。自分の世代もそうだったし、一つ上も二つ上もそうだったのだが、相も変わらず内容がない。一応、褒め言葉である。文化祭公演に求められる内容は、公演の45分間、生徒を飽きさせずに見てもらい続ける為のエンターテインメントである。ヒューマンドラマとか、社会問題とか、抽象的な表現で文学的メッセージを込めたものとか、そういうのは求められていないのだ。なのでコメディやラブコメの台本(自分の世代は誘ってくれたのとはまた別の友人である同期が書き下ろしたラブコメ)を選択して、物語の本筋が破綻しないように気をつけながら部員の好きな小ネタを最大限詰め込んでいく。あとは演出方法を大会向けとは変えて"遊んで"みたり。

今年の舞台は、演者がステージを降りて客席が並ぶフロアを歩きながら演技を続けたり、ステージ上のシーンとフロアのシーンが同時進行、といった非常に文化祭向けの舞台演出をしていた。アイドルのライブとか、大きなハコでヘッドセットマイクをつけて演る舞台なんかでは時々見るようなやつだ。これも一種の第四の壁の破壊か。

実は、自分も現役のときにこういう演出ができたら良いなと考えたことはあったが、現実的な問題を解決する方法が思い付かず、一人断念していた。その問題とは、「フロアの壁際で演技をする演者の台詞が、反対側の壁に座る客に聞こえなくなる」「フロアとステージという複数箇所で同時に物語が進行するため、客の視点が散らばってしまう」というもの。

今年の演劇部はその問題をどう解決したか。

 

解決しなかったのである。

 

セリフが聞こえなくてもそのまま物語は進むし、どこを見ていいか分からない状態でも物語は進む。

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クラス展を見て回ったり、演劇部の公演を見たりして思ったのだが、若さとは大量のエネルギーを持っているのだなぁということ。そのものの出来栄え云々はさておいて、教室ひとつ分の面積を使い切るほどの大きな展示を制作したり、45分の時間をフルに使った舞台を作ったりというのは信じられないほどのエネルギーが使われているんだろうと思う。

キラキラとまばゆく輝く彼らからは、溢れんばかりのエネルギーを感じた。

ビニール紐を細く裂いたカーテンや黒いビニール袋を切り開いた暗幕とか、客席の向こう側まで声が届かなかったり視線が定まらなかったりする諸問題とか、こういうのって正直、高校生から一つ階段を登ったオトナになればGOサインは出にくいだろうと思う。でもそれにGOを出せて、全力で作れて、胸を張っていいものだと言えるというのは、若さの特権だ。十二分のエネルギーを持ってなければそんなことできない。往時の自分はできたかも知れないが、今では不可能だ。今の自分と彼らとを比較すると、持っているエネルギー量が全く違う。もはや比べ物にならないだろう。

 

 

若さ、若さってなんだ。自分と自分たちと自分の作ったものに自信を持つことさ。

若さ、若さってなんだ。多少の問題を無視してでも自分の「面白い」に殉じることさ。

若さ、若さってなんだ。そういうエネルギーをたくさん持ってることさ。

 

彼らとは7つほど歳が離れているが、自分もまだまだ彼らのように若くありたいもんだなァ。