徒然日記

Dairiten1012の日記

徒然日記26 〜再び夢の話編〜

久しぶりに面白い夢を見た。なぜか設定を最初に読まされ、その後「少年」を視点人物として物語が描かれていったのを読み進める形で夢を見た。大学で日本文学の何を勉強したのか、と頭を抱えながら文字に起こしていた。な~んで最初に設定を読ませるかね…。まあ、夢を見たまま書き起こしているので、ここでも最初に設定を読んでいただくことになる。気持ち悪いが、受け入れてもらえれば幸いである。 

 

女魔導士
20代の見た目。中身もちゃんと20代。
人には「セージ」職を名乗る。人間のくせにMPの塊で、セージ職を名乗るくせに世界の魔法は全部履修済み。強い。最終ダンジョンの最深部で敵に囲まれても即戦闘終了するレベル。超絶強い。ソロでダンジョンに潜って財宝をありったけ回収して帰ってくる。激烈強い。ついでに剣、弓、格闘、銃などの戦闘技能もほぼ習得済み。取ってないスキルは最終列のマスター技能だけ。魔法が使えなくても最強。間違いなくこの世界最強の人間。
でもご飯が作れない。さらにことごとく"飯"運がない。LUC値はめちゃくちゃ高いのに、ご飯だけは運がない。自分で作っても必ず致命的失敗をやらかす。「美味い飯」にありつけない呪いが掛っているのか疑うほど。

 

少年
女魔導士から見たら「宿屋にいる街のNPCその12」の少年。街の案内をしてくれた。ダンジョンから帰ってきた女魔導士がまたマズい飯しか食えなかった事に涙しながら宿に帰ってきて、自分でチーズフォンデュを作ろうとしたらチーズではなく溶かしたホットケーキミックスにパンをくぐらそうとしているのを見て止めに入ったことで、女魔導士にNPCでないことがバレた。「アンバサダー」職を名乗り、この世界の上位存在から派遣された自律端末の1つとして世界の管理を担当する。が、普段は力を使わずにNPCとしてのんびりしているのが好きらしい。この世界で使えるスキルツリーは全開放して、さらに上位存在としてのスキルを持っている。世界における万能存在なので作る飯は美味い。

◇◆◇◆◇

泣きながら宿に帰ってきた魔導士さんが取り出したのはホットプレート。何やら色々支度をしているが「フォンデュ」という言葉が聞こえたから、チーズフォンデュのつもりだろう。が、パンをくぐらそうとしているそのドロドロは、融けたチーズではなくホットケーキミックス。パンをパンの素につけようとしている。さすがに可哀想になったので止めに入る。
「ホットケーキフォンデュでもやるつもりでしたか」
「え? あー……あぁ…………またかぁ……」
「ホットケーキ作っちゃうので待っててください」
「…………ウン」
こっそり力を使ってフライ返しなどを取り出し(これくらいなら能力を行使しても問題ないだろう)、手早くホットケーキを作っていく。フォンデュするつもりでホットプレートに流し込んでいたので、生地の形が悪いのはご愛嬌だ。おまけで、魔導士さんから見えない位置にバターと蜂蜜を出現させておく。お皿は…まあ、ホットプレートで我慢してもらおう。最後にバターを一欠片のせて蜂蜜をかければ完成だ。
「ふおお………美味しそう……!」
「どうぞ、できまし……ってもう食べてる」
言い終わる前に魔導士さんは形の悪いホットケーキに飛びついていた。ものすごい食べっぷりだ。
「うわーーーー!!!!美味しい!久しぶりの美味しいご飯!!!うまい!!!!!最高!!!」
ハイテンションな人だ。見ていて飽きないが、これ以上深く関わるのは止さないと、面倒事に発展する気がする。さっさと切り上げて戻るのがいいだろう。
「それは良かったです。では」
ドアに手を掛け、ここでは宿屋の少年ということになっているから、失礼の無いように"お客様"に向かって一礼。出ようとする所にすかさず言葉が飛んできた。
「私と一緒に旅をして欲しい!ご飯作って!」
「はは、プロポーズですか」
「その変な力も私の役に立つかなって」
彼女の口調が変わる。フランクさはなくなり、その声色には理性的な疑念が混じる。
「いやいや、これは手品ですよ」
「手品!?すごいね!」
「いえ、それほどでは…」
切り抜けられたか。自分の事が露見すると、完全に面倒な事になる――具体的には、他の端末や端末を管理する上位存在がニヤニヤしながら話を聞いてくるーーので、できれば避けたい。
「でもさー」
「………」
「マナを消費して何もないところからフライ返しとか取り出すのは手品とは言えないでしょー」
「………」
やはりダメだった。少しくらいなら、と驕ったのが失敗だったようだ。さすがは若くして大成した魔導士だ。魔法系ジョブの全スキルツリーを完全開放しているだけあり、マナの動きもちゃんと感知している。魔法系ジョブの最終スキルの1つに、本来は不可視不感知のマナを可視化したり感知できるようになるものがあるが、本当にそんな事ができる存在が出てくるとは、夢にも思わなかった(端末が夢とは笑わせる表現だが)。管理端末として数百年間世界を見てきたが、溢れんばかりの才知に恵まれて尚そのすべてを物にするための努力を続ける存在はこの女が初めてだ。
と、感心している場合ではない。
「一宿一飯の恩人にこんな事言うのもなんだけどさ」
「…何でしょう」
「何者だ」
声色は最初とはうってかわって硬く、疑念と焦り、恐怖、さらに殺意も伺える。彼女が魔法の発動体にしている自動拳銃が向けられる。後悔という言葉通り、悔いるのは必ず何か起こった後なのだなぁ、と、ぼんやり考える。

◆◇◆◇◆

と、ここで夢の中で巻きが入り、ダイジェストになった。
少年が身の上をすべて説明し、やはり理解が出来ない魔導士に「とりあえず飯炊きとして同行してもいいですよ」と告げると「君がどんな人だろうと、来てくれるなら歓迎する」と大喜びされ、少年は上位存在としての能力を使わないことを心に誓う。
その後、世界のダンジョンをすべて踏破したり、魔導士が戦争の道具にされかけたのを少年が助けたり、少年の過剰な自律に反対した他の端末や上位存在を相手に魔導士が大立ち回りを演じたり、上位存在が意図しない世界の崩壊を食い止めるべく2人で世界の裏側に潜ったりするのはーー
ーー今はまだ、別の話。

 

○バカヤロー!そこで終わるな!「今はまだ別の話」じゃねーんだ続きを見せろアホタレェー!気になる幕引きしてんじゃないよ!
…と暴れても仕方がないが、まあ、この当たりが俺の作劇能力の限界なのだろうと思う。無意識で適当に一場面描写して、あとはダイジェストであらすじだけを見せるとか、本当に作劇の才能はないらしい。だが、最初の設定だけ妙に長ったらしいあたり、我ながら「自分は本当によくない方の“オタク”だなあ」という感想を抱く。これをたたき台にして、きちんと書き上げてみるのもいいかも知れない。

しっかし、女魔導士のビジュアルは似たようなキャラがいたと思ったんだけど、誰だっけなあ…。