徒然日記

Dairiten1012の日記

徒然日記23 ~初夢編~

2018.01.08 23:28

Twitterにツイートした僕の夢に関する一連のツイートを加筆修正したり脚色したりしたものを、あらためてエントリの体裁にしたものだ。

はっきりと夢を見たと覚えているのは、今年に入ってからはこの夢が初めてだから、この夢が初夢ということになる。我ながら面白い夢ではあったと思う。

 

こんな夢を見た。

 気がつくと、僕は電車に乗っていた。手許には普段使いのボディバッグがあり、その中には財布、スマホ、文庫本、タオルが入っていた。普段ちょっとした旅に出るときの持ち物であったし、財布には青春18きっぷが入っていたから、鉄道旅行に出ていたのだろう。

車内を見回すとクモハ213とあった(後に調べてみると、飯田線で運用されているそうだ)。窓から見えたのは、山、川、田畑に点在する家。なるほど、振り返ってみれば確かに飯田線らしい田舎の風景である。
そのまま景色を眺めていると、電車は速度を落として、ナントカという駅に着いた。

青春18きっぷの鉄道旅であるから、気ままに途中下車をするのも悪くないだろうと思い、このナントカという駅で降りた。

2面2線。改札のあるホームに渡るための連絡橋が白っぽくて小綺麗。田舎のくせにナマイキな。そう思いながら連絡橋を渡る。高いところから見た景色は、自分が降りたホームの方にはちゃんと「田舎の景色」が広がっていたが、改札のあるホームの方は真っ白だった。雪景色であるとか、あるものの色が全部白であるとかそういうことではなく、何もなかったのだ。空白だった。だが、自分はそれに疑問を持つことなく連絡橋の階段を降りる。青春18きっぷで、そのまま空白の駅の外に行こうということしか考えていないようだった。

駅舎はこれまた白っぽくて小綺麗。しかも有人改札である。これまた田舎のくせにナマイキな。

改札に立っていた駅員は無表情で、じっと僕を見ていた。その駅員は若くも見えるし、老いても見えるし、男にも見えるし、女にも見えた。

駅員は真っ白い制服を着ていた。確かにJR東海にはグレー調の制服もあるが、どうみてもJR東海の制服ではない白さである。駅員は感情のこもってない声で僕に告げる。「切符を拝見します」

僕は青春18きっぷを取り出す。ハンコは5回分押されていて、浜松駅、岡山駅城崎温泉駅富山駅十日町駅で押されていた。駅員は、およそ乗り鉄らしいハンコの押され方だ、と笑うように言ったが、表情には出ていなかった。

駅員に渡すと、確認した後に少し眉をひそませたような、眉を下げたような顔をして、「これ、利用期間過ぎてますね。お金ありますか」と言ってきた。初めて見せた表情らしい表情だった。切符を改めて見せてもらうと、確かに利用期間が過ぎている。十日町駅で押してもらったハンコの日付は期間内であって、213系に乗っていたその日は期間外だったのだ。何がどういう理屈でこうなったのかは分からないが、とにかく、駅から出られないのは確かであった。それに故意ではないにしろ、キセル乗車である。駅から出られないという言葉の意味が変わる。無言の二人の間に、しばらくいたたまれない空気が流れる。「やってしまったー・・・」というのがはっきりと顔に出ていたのか、駅員が先に口を開いた。

「どうしますか」

「これ、キセル・・・ですよね・・・」

「今払ってもらえれば大丈夫ですが。どこから乗ってきましたか」

(わ、分からない・・・)

「・・・恐らく十日市駅からでしょうね」

「ここまでの運賃・・・・・・多分、絶対足りないです・・・」

「目的の駅で人を呼ぶのがいいと思いますよ」

「浜松で乗越精算・・・キセルの運賃借ります・・・」

「それがいいでしょうね」

「ホームは・・・」

「浜松駅なら1番線、降りてこられたホームです」

「次の電車まであとどれくらいですか・・・」

「あと1時間半ほどですね」

「あぁ・・・・・・」

「田舎ですから」

年齢性別不詳の駅員さんは笑っていた。

次の電車が来るまでの1時間半、一体どう過ごしたのかは分からない。ともあれ、次の瞬間には、目の前に浜松に帰るための電車が停まっていた。電車の転換クロスのシートに座り、一息ついたところで、チラと改札を見ると、駅員さんが小さく手を振っていた。表情までは見えなかったが、雰囲気が柔らかいように思えたから、笑っていたのではないかと思う。

僕は少し気恥ずかしくなりながら、小さく頭を下げた。その時、電車はゆっくりと動き出した。

その後、僕の意識はフェードアウトし、そのまま目が覚めた。

 

◇◆◇◆◇

これが、僕が見た初夢の内容である。どうです? わりかし面白いでしょう。描写力はないので、完全に素描状態であるが、漫画なり短編小説なりにできそうな話だと思う。

これは夢を振り返っての感想であるが、あの駅を出ていたら僕は死んでしまっていたんじゃなかろうか。

駅は彼岸と此岸の境界で、切符は六文銭の渡し賃、駅員は死神のようなもの。だから駅舎は無駄に綺麗で、駅の外には何もなかったんだろう。あの駅員さんがルールに厳しく、青春18きっぷの期限を確認してくれていなかったら、空白に踏み込んでいたら、死んでいたのだろうか・・・と、ここまで考えて、少し空恐ろしくなって考えるのを止めた。
そういえば、もうすぐ冬の青春18きっぷのシーズンは終わる。春は飯田線に乗ってみようか。

2018.01.09 01:40